※女体化ですご注意 ゼロバレ
 キャラ崩壊率も高いので何でも許せる方どうぞ


 なんという!


   とばっちり:前編

 微睡みの中で卜部は部屋に入ってくる気配に目を開けた。施錠は可能だがこの団体のトップであるゼロはその施錠を難なく解く。管理人のようなものだろうと思っているので特に訊かなかった。ましてこの部屋は卜部の部屋ではないから、卜部が文句や要望を突きつけても仕方がない。部屋の主は毛布にくるまって眠っている。
「んぁ、誰だ…」
交渉の後であったから身なりを確かめる。ズボンを引っ掛けているので構わぬかと思う。訪問者は手探りで明かりをつけた。動けなかった卜部は拍子抜けしたのでそのまま座り込んだ。きょろりと大きな紫水晶が卜部を見る。
「なんだ、あんたか」
「あんたとはご挨拶じゃないか」
ルルーシュの目線は常に上からだ。実力も統率力もそれを裏打ちしているので不自然は感じなかった。
 わずかな違和感に目を眇めた。声が若干高い。そして卜部の声も高い。気色悪いので裏声など出さぬ。微妙な齟齬に戸惑っているうちに、ルルーシュはふんと哂った。寝台に近づいて藤堂を起こす。
「藤堂起きろ。卜部もいるからちょうどいい。手間が省けた。オレは運がいい」
のそりと起きた藤堂の変貌がすさまじい。
「はぁあぁぁあ?!」
まだぼんやりしているらしい藤堂の胸部は鞠のように膨らんでいる。内側に果実でも含んでいそうな大きさである。うなじを隠す鳶色の髪が伸び、灰蒼はいまだにトロンとしてルルーシュを見つめた。
「気付け遅い。お前もだから」
「ギャアアァアア」
びしっと指をさされて卜部が悲鳴を上げた。掴めば掴んだなりに感触のある胸は小ぶりだが乳房と言っていいだろう形と大きさだ。下腹部で己のあり様を少なからず決定してきた器官もない。ズボンの中をのぞいて衝撃に身動きをとれぬ卜部をルルーシュは放りだす。
「藤堂、いいことしよう。せっかく女性体なんだからこのチャンスは大いに利用」
「待て」
立ち上がった卜部の脚がガツンとルルーシュの尻を蹴りあげた。勢いで飛びあがってからルルーシュが意味不明な呻きを上げた。ごろごろと転げると少し長くなっている黒髪が絹のようにさらりと揺れた。
「なにをする馬鹿者! オレが傷ものになったらどうしてくれる」
「なっちまえ。なんでこの変化ぁ知ってる」
藤堂も卜部も変調に気付かなかったからこそ交渉をもったし、その後に眠りこけてさえいたのだ。例のごとく一服盛られたか、いやそれにしたってなんで中佐と俺、と卜部の思考は行き詰まる。ルルーシュはハンと鼻で笑うと襟を緩めて肌蹴させた。
 卜部は黙ってそれを見た。ルルーシュ自身は細身である。それを考え含めるとこの胸部の容量はおかしい。わずかであろうがこんな局所で太らない。
「魔女と少しもめた。売り言葉に買い言葉というか歯止めは利かんし利かせる気もないからエスカレートだ。しまいにあの魔女、一度女になってみろとか言うからだったらしてみろと言ったんだ」
「……」
嫌な予感がする。卜部の背中を嫌な汗が伝った。
「あの女、夕食のカレーに女性化する薬をぶちまけたぞ一壜。あの大鍋に全部」
「だあ゛ぁぁぁあ゛ああ」
卜部ががっくり突っ伏した。やっぱりそうか、あの女か。ルルーシュは知らぬげに滔々と語る。自分に非はないのだと言わんばかりの身振り手振りに藤堂がふむふむなどと相槌を打つ。
「…じゃ、じゃあこの静けさァ」
「まぁ気付かず眠っているか気付いたとしてもどこへ駆け込んだらいいやらわからんだろう」
しれっとしたそれに藤堂がそうだなと返事した。卜部の血の気がザァッと引いた。あぁあぁなんもしないで寝てりゃあよかった。下手に真相を知ってしまうと身動きがとれぬ。藤堂は呑気に股間を見てははぁあ、と言っている。
 藤堂の目がじっと卜部とルルーシュを行き交う。気付いたルルーシュがなんだと問うた。
「…若返るわけではないのか」
「ちょっと待って中佐」
「若返る?」
藤堂を制止するには卜部の位置は遠かった。
「仙波はどうなって」
「人が見ねェでいたとこ見ないでくださいッ」
「なんだじゃあ見に行くか」
「やめい!」
あっさり立ち上がるルルーシュに卜部が足払いをかけた。どたーんとルルーシュが派手にこける。受け身の取り方も知らぬこけ方だから派手だ。
「貴様さっきからオレの扱いが粗雑だぞ?! この珠のような体に傷が」
「つけろ。いっそつけろ貫禄つくぜ」
「ふん、傷ものにしたら責任をとってもらうぞ?!」
「安心しろ、傷なんて気にならねぇくらいぼろぼろに鍛えてやる」
「…ふ、多少損傷があってこそ美しさは際立つからな」
「お前は頭に損傷があるンじゃねェか?」
こめかみと口元が引き攣る。ルルーシュは長い間をおいてふんっと鼻を鳴らした。
 「この痩せっぽッ」
「黙れ貧弱貧乳」
めらっとルルーシュが燃えた。
「すごく苛立たしいな! 腹立たしい! 女性化など不本意でありその結果など気にならぬはずなのにすごくむかつく!」
卜部はため息をつくようにして視線を逸らす。ルルーシュの黒髪の先が怒りで逆立ちそうだ。
「いいかこれを基準にするなよ! 貴様とて貧乳だわ馬鹿者め!」
藤堂の胸をわしっと掴むルルーシュの顔面を卜部は蹴り飛ばした。びっくりしたらしい藤堂はしきりに瞬いた。うぅとうめくルルーシュの頭を足蹴にする。
「なンだって?」
「卜部、そういう態度は感心しない」
ガッバァと跳ね起きたルルーシュは卜部を跳ねのけて藤堂に抱きついた。
「藤堂、お前は優しいな! オレの目に狂いはない! 全力で可愛がっ」
打撃の所為かぼたぼた鼻血が滴る。ルルーシュが鼻血さえものともせずに藤堂に抱きつこうとする。
「テメェは全力で解毒法探せぇえぇッ!」
卜部も早々引きさがらない。非力にこそなっているが藤堂からルルーシュを引っぺがす。ルルーシュは元より腕力などない。
「魔女の奴隷にでもなって探せ周りィ巻き込むんじゃねェテメェらで勝手にやってろッ!」
「あの女がそれしきでほだされるものか。どうせ同じだけの時間を過ごすならオレはそれを有意義に使うことにしている! だから貴様たちを探して」
つんとした態度は美貌とあいまって可愛らしいが鼻血で台無しだ。おまけに憎々しい。
 「それはいい心がけ」
「ややこしい!」
嘴を挟む藤堂の口をパァンと叩くようにして卜部がふさぐ。
「中佐ァほめンで下さいつけ上がるだけっす! しかもこれェ開き直りッていうん」
「なんだ人の良い点を見つけられるという素晴らしい」
「お前が言うかァぁあァ」
頭部をがっしと固定するとこめかみを握りこぶしで押す。ぐぎぎぎぎぎと軋むような嫌な音がした。
「いたいいたいいたいいたい!」
ルルーシュが本気で悲鳴をあげて泣く。藤堂はおろおろしてどちらにつくべきか判断をしかねている。
「卜部、乱暴は良くない」
その言葉に拘束が弛み、ルルーシュが逃れた。じんじん痛むこめかみをさすりながら涙目で藤堂にしなだれる。
 「なんという乱暴だひどいと思わんか藤堂! 力で解決できることなどないッ!」
藤堂がこくこくと頷く。まだ寝ぼけているのか。
「やっぱりお前はお前だな藤堂。状況についてこれないだけの優しさが」
「それはほめてねェ」
がづんと殴打で床に沈むルルーシュを藤堂が判っていない顔で見る。ルルーシュがぶるぶる震える。ガッバァとバネのように跳ね起きると卜部に食ってかかる。
「だから! 貴様さっきから扱いが粗雑! 乱暴! 乱雑!」
胸倉に掴みかかるがルルーシュの細腕では大した効果もない。
「最後の意味違わねぇか」
卜部は取り合わぬ。どこ吹く風とそっぽを向いた。ルルーシュの髪が心なしか逆立った。
「まァ鍛えられていいだろ。打たれれば強くなるっていうし」
「オレは鉄か!」
しばらくぽやーんと二人を見ていた藤堂がのほんと呟いた。ゆったりした微笑は肉欲の欠片さえない清廉さだ。
「仲がいいな」
「どこが?!」
そろった声に互いが苦々しげに見る。苦虫をかみつぶしたようなそれでさえ藤堂は楽観的に取る。
「なんだかうらやましいが」
「これを羨ましがってどうするお前の足元にも及ばん戦力」
ゴスッと卜部がルルーシュの後頭部を殴打した。振り返ったルルーシュと目線を逸らす卜部の間に間が流れた。びきっとこめかみが痙攣する音さえした。言葉にならぬ怒号を上げて飛びかかるルルーシュから卜部が逃げた。
「キサマァァアアァア」
「…――卜部!」
藤堂の通る声が響いた。
「胸を隠しなさい、はしたない」
ずだーとルルーシュと卜部がその場に脱力した。


《続?》

つ、続きのエロは要望があったら書きます(逃げた) その時は裏におきます、まだ書いていません!(逃走)
ギャグってむずかしぃい!(悶絶) 書ける人ってすごい! 尊敬する!
真横に大好きなコメディ(と帯に書いてあった)ものを読みながら書いた(エ?!)
ギャグのテンポをもうちょっと勉強したいです…(べそべそ)     03/20/2010UP

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